Shor のアルゴリズムは素因数分解と離散対数問題を解くため、RSA、有限体の DH、ECDH、ECDSA、EdDSA はいずれも、暗号を破れる規模の量子コンピューターによって破られます。ポスト量子方式は、量子計算による既知の近道がない問題に基づいています。構造化格子(ML-KEM、ML-DSA、FN-DSA)、ハッシュ関数(SLH-DSA、LMS、XMSS)、誤り訂正符号(HQC、Classic McEliece)です。共通鍵暗号とハッシュ関数が受ける影響は Grover のアルゴリズムによる平方根の高速化だけなので、AES-256、AES-128、SHA-256 は引き続き使えます。
NIST は 2024年8月13日に FIPS 203(ML-KEM)、FIPS 204(ML-DSA)、FIPS 205(SLH-DSA)を公開しました。FN-DSA(FIPS 206。Falcon を基にしたもの)と HQC は、まだドラフトの段階です。NIST IR 8547(初期公開ドラフト)は、112 ビットの従来型アルゴリズムを 2030年より後は非推奨とし、量子コンピューターに対して脆弱なすべての公開鍵アルゴリズムを 2035年より後は禁止することを提案しています。NSA の CNSA 2.0 は、国家安全保障システムに対してより早い期限を定めています。
実際の移行は次の順序で進みます。記録された通信が後から解読されるおそれがあるため、まずハイブリッド鍵交換を導入し(TLS の X25519MLKEM768 と SSH の mlkem768x25519-sha256 はすでにデフォルトです)、その後に署名と PKI に取り組みます。署名と PKI では、サイズと信頼の配布がより難しい問題になります。PQC アルゴリズム図鑑で、サイズと速度を比較できます。