格子とは、基底ベクトルの整数係数の線形結合全体からなる集合です。高次元で短いベクトルや近いベクトルを見つけることは、量子コンピューターにとっても困難だと考えられています。LWE は、小さなノイズ e を含む多数のサンプル (a, a·s + e) から秘密 s を復元することを求める問題です。ML-KEM と ML-DSA が使う Module-LWE と Module-SIS は多項式環(次数 256、法 q は ML-KEM で 3,329、ML-DSA で 8,380,417)上で定義されるため、鍵がコンパクトになり、数論変換によって演算を高速化できます。FN-DSA は NTRU 格子を使います。
安全性の見積もりは BKZ などの格子基底簡約アルゴリズムのコストに基づいており、NIST のセキュリティカテゴリに合わせて安全マージンが選ばれています。格子方式は楕円曲線よりも鍵と出力が大きい(約 1〜5 KB)ものの、高速です。これまでの実用的な攻撃の多くは、数学ではなく実装(タイミングによる情報漏洩、フォールト攻撃)を標的にしてきました。