2004年に Wang らが最初の MD5 の衝突を発表し、2007年には Stevens、Lenstra、de Weger が選択プレフィックス衝突を実用的なものにしました。2008年には、ある研究チームがこれを使って、まだ MD5 で署名していた商用 CA から不正な中間 CA 証明書を取得しました。マルウェア Flame(2012年)は、MD5 の選択プレフィックス衝突を使って Microsoft のコード署名証明書を偽造しました。現在では、ノートパソコンで数秒あれば衝突を見つけられます。
RFC 6151(2011年)は、衝突耐性が求められる場面で MD5 を使ってはならないとしており、RFC 9155 は TLS 1.2 から MD5 による署名を削除しました。HMAC-MD5 や、攻撃者を想定しないチェックサム(偶発的な破損の検出、キャッシュキー)としての MD5 は同じようには破られていませんが、最近の CPU では SHA-256 のほうが速いことも多く、新しい設計で MD5 を選ぶ理由はありません(Apple M4 Max の 1 コアで、OpenSSL 3.6.5 による処理速度は MD5 が約 0.86 GB/s、SHA-256 が 2.85 GB/s です)。